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予想していなかった事態
This is my site Written by iwasaki on 2009/07/12 – 18:48

月1回の散髪に行こうと予約の電話を入れましたら、日曜日なのにすぐにOKです。顔なじみのご主人に「最近景気はどうですか?」と切り出しましたら、床屋事情を詳細に語ってくれました。
最近、各ターミナル駅前に1000円床屋が増えてきているのは知ってはいたのですが、昔ながらの大衆理容の流れで安かろう悪かろうのレベルか、と思っていたら全く違うそうです。
「大衆理容は外国人が経営者で安いだけが取り柄でしたから、何にも怖くありませんでした」確かに、昔、行ってみて、余りの雑さに、それ以降、見向いたこともありませんでした。「でもね。今の1000円床屋は大手クレジット会社の経営で、年配のベテラン技術者が店を切り盛りしているから、質的にも全く遜色なんかありません」
「それは大変ですね」と相槌を打ちますと、「予想していなかった事態です。我々、個人床屋が甘かったのですね」いつもの我関せずの職人気質には似つかわしくない弱気な発言です。
確かにどの業種にも専門のディスカウンターが進出してきて、従来の商売方法に胡坐(あぐら)をかいてきた個人店が淘汰されてきていますから、床屋だけが例外ではないことも理解できます。
「病院や老人ホームなどへの出張床屋も増えていますが」と助け船を出してみますと、病気の人を触るのが嫌だとか、老人は文句だけ多くて大変だとか、言い訳が並びます。
「こんなことを言っているのは、まだ食えているからですよ」、客との応対は奥さん任せで腕一本で生きてきたこのご主人は、事態の変化を認識しつつも、当分は今のやり方を変えそうにもありません。

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