新入社員時代に、松下幸之助氏の「成功する秘訣は成功するまで止めないこと」という言葉を何度も聞かされました。粘り強く努力していくことの大切さを教えられたのです。もう一つ、それの日頃の実践として、「断られてからがスタート」ということを身体の髄まで叩き込まれました。
本社の人事行政部門で過ごした若手時代は正にその繰り返しです。
人事異動で優秀な営業課長が必要になると、「すぐに見つけてこい」という指示です。社員プロフィールから候補者をリストアップして、事業所の人事部長に掛けあいに行きます。優秀な人材はどこでも出したくはありませんので、先ずはＮＯです。帰って上司に報告すると「また行ってこい」の返事のみ。
部長職選考では事業所毎の候補者数の調整です。「対象者数が○名ですから、○％で○名にしてください」「うちは優秀な人材が多くて事業成績も良いからこれくらい増えても問題ないだろう」、海千山千の現場の人事部長達は一歩も引きません。
説得材料を準備し、何度も何度も訪問するうちに全社の状況も理解してもらい、事業所の実情も少しずつ分かってきます。その結果、ようやく落とし所が見つかります。
先日、遠征登山断念宣言を出した古希マンの奥様に、親友３名で「最後の遠征登山に参加させてくれるように」と出した手紙の返事がきました。予想通りのＮＯです。同じ会社で育った３名は何ら動じません。「夫婦の説得が大事だ」「時間の許すまで押しまくれ」と檄が飛んできます。
古希マンを駅前のスタバに呼び出して、そのことを伝えました。さあ、ここからが戦闘開始です。「断られてからがスタート」、どんな攻略策をひねり出すか、考えるだけでも楽しみです。