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母と手をつないで歩ける幸せ
This is my site Written by iwasaki on 2012/01/04 – 12:14

宮崎で一人住まいしていた母を、年末に少々強引に大阪に連れてきたので、不安顔を気遣いつつ、先ずは我が家の和室に住んでもらい、一緒に食事をし、お風呂は妻と入り、毎朝、散歩をし始めた。

これまでは気恥ずかしくて母と手をつないで歩いたことはなかったが、我が家の一員のおばあちゃんになってもらったのだから、これを機に手をつないで歩くことにした。

父親の看病と死去後の一人住まいですっかり足腰が弱ってしまったようで、杖だけで歩くのが何とも頼りなさそうだが、手をつなぐと安定するのか安心するのか、しっかり握って前を見て歩いてくれる。

先ずは家の周りを歩き始めたら、これまで話をしたこともない通行人達が気軽に話しかけてくる。「息子さんとお散歩ですか。いいですね。」 母がすかさず、「宮崎に大きな家があり大阪に来るのが嫌だったが、嫁がいい人なので思いきってきました」と返事すると、「息子さんと一緒に住めるのは幸せですよ。やっぱりお嫁さん次第ですよね。私もお嫁さんがいい人なので同居しています」と嫁自慢に花が咲いた。

こんな生活のスタートに少々安心したのか、5日目にはホームに住むと自分から言い出したので、施設長さんにご相談して「善は急げです」との応えで、その日からホーム住人となった。

翌日から、朝食後、ホームに母を訪ねて散歩に出かける新たな生活パターンが始まった。

初日は我が家まで歩き(我々の足では5分、母と一緒なら20分)、2日目は成田山不動尊まで20分(我々なら3分)坂道を登り、お参りして石段を下り終えて、綺麗で珍しい花のあるお宅をのぞいていたら、ご夫婦が出て来られた。「チロリアン・ランプと云うんですよ。是非持って行ってください」と4・5本いただいた。「これから前をお通りの時は、是非、チャイムを押して、お茶でも飲んでいってください」

これまで何度もこの家の前を行き来してきたが、こんな会話を交わしたことは一度もない。また道を歩いていて声をかけられることもなかったが、その後も池の傍では「この池にはカルガモがいるんですよ。春になったらひなを連れた親子が泳ぐ姿が可愛いですよ」「歩くのが健康の秘訣ですから、毎日、この池の周りを歩いてください」

「母と手をつないで歩ける幸せ」、それだけでも幸せすぎるくらいだが、更に、その道々での新しい出会いは、これまでのビジネス人生とは違った会話に溢れることだろう。新たな出会いの場づくりができたようだ。

 

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