核密約を実名で証言した元外交官、村田良平氏を悼む
Written by iwasaki on 2010/03/20 – 21:24
今日の新聞に、核持ち込みを巡る日米の密約が存在したことを外務省幹部として初めて実名で証言した、元外務次官村田良平氏の訃報が掲載されていました。
アメリカではすでにこの密約の文書が公開されているにもかかわらず、日本政府は今日までそれを認めてこなかったという、民主主義の国家としては恥ずかしいまでの国民に対する隠ぺい主義に対して、その書類を扱ったエリート官僚が実名で証言すると言う勇気に、エールを送った日本人が多数あったと思います。
ムラ社会が色濃く残る日本では、責任をあいまいにして丸く収めるやり方が尊ばれ、それに隠れるように、責任を取るべき者が組織に隠れることが多く見受けられますが、それをよしとせずに、戦後外交の舞台裏を著述で明らかにし、また、顔を明らかにして証言した村田氏だからこその訃報の記事でした。
彼の著書「村田良平回想録」~戦いに敗れし国に仕えて~を、著者については全く知識がないままに、1年ほど前に大阪市内の大型書店で見つけて買ってきて本棚に飾っていましたので、今日、早速、読み始めました。
誇張もなく事実を淡々と書き連ねたこの著書にどんな戦後外交史が書かれているか、期待が膨らみます。