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山岳遭難事故の実証的科学的報告を読んで
This is my site Written by iwasaki on 2010/12/07 – 16:27

昨年7月に北海道のトムラウシ山で起こった大量遭難事故は、山登りを愛する者として、余りにもショッキングな出来事であり、その原因をマスコミ報道からガイドの判断ミスと短絡的に考えていたが、事故後1年を経過して発刊された「トムラウシ山遭難はなぜ起きたのか~低体温症と事故の教訓~」を読んで、他人事ではなくなってしまった。
筆者4名のうち、3名はトムラウシ山遭難事故調査委員会のメンバーであり、事故調査報告書を加筆して掲載されており、もう1名は7年前の同じ時期に、同じコース、同じ山で起きた遭難事故も取材している。
この本では生存者8名のうち6名のインタビュー結果をもとにして事故の経過が書かれ、併せて、気象学・医学・運動生理学の専門分野から実際のデータを使った分析が行われ、最後にはツアー会社・ガイド・ツアー登山参加者それぞれに対して、事故防止に向けた提言がまとめられていて、我々のような一般中高年登山者には学ぶべき数々の教訓がある内容だ。
低温・雨・強風にさらされて起きる低体温症の知識を持っているか、コースごとに消費カロリー数を計算し、必要な食糧を持参しているか等、これまで我々の登山倶楽部に不足していた知識だ。
併せて、登山は本来自己責任で行うものだが、ツアー登山の場合にはどこまでが自己責任の範囲なのか等など、メンバーの中にはツアー登山に参加する者もいるので、この本を是非読ませたいと思う。
安全第一をもって活動の第一としている我が登山倶楽部「名山会」がこれからも無事故で活動が続けられるよう、学びの幅を広げ、更に慎重居士の計画立案者・実行者であり続けたいと思う。

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