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「武士の家計簿」に見る江戸時代の生活
This is my site Written by iwasaki on 2010/12/16 – 11:04

「武士の家計簿」という映画が話題になっていると知り、学者が書いた同名の原作を読み始めた。
作者は磯田道史という茨城大学人文学部の準教授、彼が神田の古書店で偶然手に入れた「金沢藩士猪山家文書」のなかに詳細な家計簿を見つけて、それを丁寧に分析したことから当時の武家の生活がお金の支出面から赤裸々に描き出されている。
映画やテレビで江戸時代の武士の格式ばった生活はよく見てきたが、実際の暮らしのしかたがどうなっていたのかはほとんど知らないに等しい。
知行○○石の武士はお米を○○石もらっていたと思っていたが、実際はそれを銀に換算して受け取っていたこと、家計に占める交際費、武士の対面を保つための親族付き合い費用が家計を圧迫していて、その対策として鯛の尾頭付きを飾るところを鯛の絵で代用していたこと、江戸詰めになることは名誉ではあっても家計的には大幅な赤字になること、当時の離婚率が極めて高かったこと、など、予想だにしなかった武士の人間生活が次から次へと書かれている。
これから明治維新を経て大正時代まで、武士たちにとって、更にどんな生活革命が起きるのか、読み進むのが楽しみである。
著者は実在した武士家族が江戸末期~明治維新~大正と言う社会変動をどう乗り切っていったのかを克明に描きながら、「エンプロイアビリティ=今いる組織の外でも必要とされる技術や能力を持つこと」が厳しい社会変動を生き抜く方法である、と訴えている。

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