喫茶店に入り、キリマンジャロを注文したら、同席の友人が「ところでキリマンジャロはどうするの？」と聞いてきた。
キリマンジャロに登りたいと夢を語り、その実現可能性を探ってきたが、必要な経費が多額であること、１０日余りの所要日数と体力を兼ね備えた同行の友人がそろわないことから、当面実現は不可能かなと思いつつ、最近口にさえ出していなかったことを、友人の一言の質問が話題の中心に乗せてしまったのである。
そこからは、これからの人生をどう生きていくか、その中での夢は何か、登山をどのレベルで位置づけるか、と話題がどんどん広がっていき、ついには、やりたいことを絞り込みながら、体力と気力と金力を鍛えて、描いた夢の実現に動いていこうということに決めた。
プロのコーチが、質問をする目的は、１）リソースを見つけるために、２）モデルを見つけるために、３）物事をはっきりさせるために、４）未来をビジュアライズするために、行う、と整理していたが、改めて、ひとつの質問の持つ力を感じた時であった。
いい質問の作り方には効果的なトレーニング方法はないと思うが、この友人のような見事な質問にできるだけ出会い、その質問とそれが出てきた場面・状況をセットで記憶していくことではないかと思う。