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60歳のラブレター
This is my site Written by iwasaki on 2011/02/07 – 10:46

熟年夫婦のお互いへの思いをはがきに綴って応募する「60歳のラブレター」は住友信託銀行が2000年にスタートさせて、今年で11回を迎えようとしている。
「あらためて思う感謝の気持ち」や「今だから言える素直なひと言」を1枚のはがきに書いて応募する企画が反響を呼び、初年度からたくさんの応募があった。かく言う私も最初の年に応募して、見事にボツになったが、以来、毎年の優秀作品を掲載した同名の本に目を通してきている。
2009年にこの本を題材にした映画が放映され、見のがしたものが、先日テレビで観ることができた。3組の男女が自分を取りまく環境の変化から相手に対する自身の愛情の変化を思い知らされ、改めて、「自分にとって最も大事なものがこの相手との愛である」と気づき、それを行動に移す物語である。
我がまま放題に生きてきた仕事人間が定年離婚して、初めて妻の存在の大きさを知り、彼女が行きたがっていた富良野のラベンダー畑に、季節外れの満開のラベンダーの絵を掲げる姿は「幸せの黄色いハンカチ」そのものだ。
脳腫瘍の手術をした妻のベッドの脇で手術の成功を祈りながら、ビートルズのミッシェルを歌い続ける夫の姿からは、我々の青春時代が浮かび上がってくる。
研究に没頭しながら落ちぶれてきたやもめ医師が、密かに結婚を夢見てきた高名な翻訳家に対して、娘が書いてくれた英語のラブレターを読んで彼女が翻訳するシーンは、団塊の世代の不器用な一面を見事に描いている。
これらの熟年男女が織りなす愛の変化と新たな愛への挑戦には、我にもなく、何度も目頭を熱くされた。長年連れ添ってきた夫婦でも、改めて相手の存在を認識し直して、それを言葉と行動に表していくこと、そこには不器用さは言い訳にしかならないようだ。

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