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男児 志を立てて郷関を出づ
This is my site Written by iwasaki on 2011/02/11 – 11:21

「男児(だんじ)志を立てて郷関を出づ、学もし成るなくんば、また還らず」、この勇ましい覚悟の詩は江戸末期、勤皇の志士に愛唱された月性和尚の作である。
今は亡い祖父がこの詩を文字って、「男児ひとたび志を立てて郷関を出づ、功なくんば生きて帰らず」と度々口にしていたが、それは彼が艱難に立ち向かっていった決意を表していた言葉であり、私も社会人になってから事ある毎に思い出してきた。
先日、仕事の進路に迷う友人が訪ねてきた。自ら立てた志とは違う仕事環境に甘んじて安寧を求めるべきか、再び志の旗を更に高く掲げて艱難の道を突き進むべきかどうか、の相談である。
志を下ろしかけている自分の姿に悩み、朝、背中を丸くして出勤し、夜、疲れきって帰ってくる夫の姿に、仕事をやめる決断を鈍らせない言葉をかけてくる妻を気遣う彼に、これまでの経過を順を追って細部まで聞きこんだ。
そして突然に口の出てきたのが祖父の言葉だった。この言葉で彼の顔に生気とやる気がミルミル蘇ってきた。
「お陰様で元気をいただきました」と帰っていく彼の後姿を見送りながら、明日からの彼の新たな挑戦の姿が目に浮かんできた。

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