４０年来の親友で登山仲間でもある３名が、久しぶりに居酒屋のテーブルを囲んだ。最近、仕事と家庭事情に追われて足の衰えの著しい同業社長を詰問して、「足を鍛え直して遠征登山に果敢に挑戦する発奮宣言」を引き出そうというのがねらいである。
その気配を察してか、くだんの社長は早めに店に来て我々の到着を今や遅しと待ちうけ、生ビールの乾杯もそこそこに、５月後半に出かける四国剣山系の登山案を５案も準備して詰問者に対抗してきた。
そこからは登山案の詳細検討から北海道から九州までの遠征希望を披露しあいながら、「足の鍛え方は大丈夫か？」と再三再四迫った。結論はカモシカ足の細身登山家にはかなわぬものの、骨折仲間は追い抜けると宣言したものだから、収まらない。ついには、近々出かける葛城山登山で勝負し、剣山で決着することに決まった。
還暦を過ぎて３年余り、お互い親の介護を抱えてはいるが、大震災支援の思いは同じ、仕事も起業家仲間として、手を抜くどころか自らの存在価値追求をいかに進めるか、身の程に絞ったテーマに全知全能を傾けるべし、と生き方宣言にまで及んで閉会となった。
カモシカ足も相当酔いが回り、帰りの電車で乗り換え駅を間違って降りかけたことは足弱登山家には黙っておこう。