Banner
六甲山骨折事件を払拭する
This is my site Written by iwasaki on 2011/05/15 – 19:16

久しぶりに東おたふく山から六甲山~有馬温泉を親友と二人で歩いてきた。5年前、下山者との交差時に足を滑らせて右足首を骨折した時に、ザックを持ってくれたのが彼である。
骨折後のエスケープルートに使った道を登りながら、「よくこんな道を歩いて降りたもんだなあ。複雑骨折になるはずだ」と当時の状況を思い出したが、丸太棒のように腫れてきた足で、一歩歩くごとに激痛が走り、バス停まで這うようにたどり着いた悪夢の日が、いつの間にか遠い昔の思い出のようになってしまっていた。
山頂近くの東屋に陣取って、弁当を広げて、ビールとバーボンで山上一献会を始めた。最高峰を往復する登山者達に「こんにちは」と挨拶を繰り返していたら、途中で追い越した同年輩の男性が近づいてきた。片足に補助具をつけて、杖をつきながら登っている姿に、よく登れるものだなあと同情心で見ていたが、彼の話を聞いてひとりで登ってくる理由が分かった。
北アルプスの西穂高から槍ヶ岳までの超難コースを歩いたというベテラン登山家の彼は、仕事のストレスから脳出血で半身まひになり、以降、傍から見ればそこまでやるかというリハビリをやり続けて、ついに山にも登れるようになってきたそうだ。
「“これからはなぜこんな人が山登りを”と思わずに、山に登れるだけのバックグラウンドがあると見なければならないな」という親友の言葉にうなづきながら、先を急ぐ彼を見送った。
有馬温泉への下り道で再び彼を追い抜いたが、必死で歩いている彼の顔には悲壮感はなく、夢に立ち向かうチャレンジャーの充実感が溢れていた。

Posted in  

Leave a Reply