Banner
リーディングアサインメント研修は有効だ!
This is my site Written by iwasaki on 2011/10/24 – 08:41

「研究会のディスカッションが、その場の思いつきの発言が多くて、なかなか内容が深まらない」、また「研修で課した課題図書の読み込みが不十分であり、著者の意図や主張を受け止めきれていない」という問題意識から、「リーディングアサインメント研修」形式を試みに導入し始めた。
「リーディングアサインメント」とは「課題図書」の意味で、その研修方式は欧米の大学や経営大学院の授業では日常的に行われている。読書するよう指示された膨大な課題図書を読んで、著者や登場人物(歴史上の人物を含む)の人生の軸や覚悟、思考方法、判断基準等を事前に読み取った上で、授業に出席してディスカッションに参画し、討議テーマについての理解と自論の確立を進めていくやり方である。
通常研修の場合、課題図書については「ディスカッションする項目一覧」を事前に配布して、その項目順に本の論点を抜き出し、それに自己見解を付記して、研修当日に臨んでもらうというシステムを組んだ。
先日、初めて実施したが、受講者達の顔つきが今まで以上に真剣である。項目毎に全員もれなく指名していくと、準備十分なメンバーはポイントを理解した解答を生き生きと語り出し、一方、準備に手を抜いたメンバーは途中から議論に参画できなくなってうつむいてしまうので、一目で事前準備のレベルが分かってくる。併せて、考えてきた自己所見を披露するに至って優劣の差が更に広がってくる。
一昨日、東京で開催したHRD(人材開発)研究会でも試みたら、これまで以上にポイントに集中した議論が繰り広げられた。終わってから一人ひとりに感想を聞いてみると、「思いつきの発言がなくて論議が深まった」「自分だけの本の読み方が狭かったと気づき、他のメンバーの発言に学ぶことが多かった」と概ね好評である。
しかし、初めての試みであり、全く自分流の進め方をしたので、改善意見が続々出てきた。それらを整理してみると、
1)課題図書の選び方:テーマにぴったりマッチした課題図書を選ぶこと。
2)事前課題の作り方:司会者は、徹底的に読み込んでポイントを全て抜き書きすることが必要であり、メンバーもまた、論点を全て抜き出しておいて、議論の最中に本を読み返すことがないようにすること。
3)事前課題の提出の是非:リーディングアサインメント研修では、他メンバーが作成した資料などをみている暇はなく議論に集中して自論を展開することを求められるので、事前課題の提出は不要である。
4)討議の深め方:最重要部分の討議が浅くならないように、テーマ毎の論議の深め方・時間配分など、司会者が進行のさばきに緩急をつけること。
5)討議結果のまとめ方:討議がスムースに運び、討議結果がまとめやすいように、フォーマットを準備すること。
以上、改善点はまだまだ多いが、「リーディングアサインメント研修」が、研修手法として、また読書を深める手段としても、極めて有効であることに変わりはない。これから更に実施回数を重ねて、日本版の日常使用可能な研修スタイルとして確立していきたいと思う。

Posted in  

Leave a Reply