深く考えた後は草むしりがベスト

仕事の谷間の一日、暑くなるとの天気予報を聞きつつ終日屋外作業を行うことにした。車は泥だらけ、花壇は草ぼうぼう、これを梅雨の合間に片づけておこうという目論みである。
起きぬけに、高速放水機を取り出して車を洗い終わると、ついでに台所の流し台のパイプ掃除にまで使って一段落、続けて草むしりと思っていたが、真夏の日差しで30度を一気に突き抜けた暑さでは心がひるむ。
日が陰ってくる夕方まで待とうと、近々開催する経営諮問会議(親友たちに弊社の経営状況と経営計画を説明し、忌憚のない意見を聞く会)のために、説明資料を作ることにした。
日頃頭の中で思っていることでも、文字に表そうとすると考えをトコトン整理しなければならず、ほぼ半日、パソコンの前でうんうんうなりながら、ようやくまとめ上げた。
オーバーヒート気味の頭に、外もまだまだ暑く、だらだらと汗をかきながら必死に草をむしっていたら、先ほどまで考えていた3年間の活動内容やこれからの経営の展望について、あれはこうしよう、コラボはやはりこのやり方がいい、と考え方の修正や対応策の方向まで、次から次にアイデアが湧いてくる。
深く考えた後の無心の草むしり作業、改めてプランの熟成期間の大事さを感じたが、その後、シャワーを浴びて、夕食で焼酎のロックをグイッ!至福のひと時である。

産直の魅力

インターネットを活用した産地直送の新鮮な果物や野菜、海産物などの販売が拡大の一途と聞いているが、我が家でもお世話になった方々に、北海道のグリーンアスパラや夕張メロンを送らせていただいている。
お送りした方々からは、「こんな美味しいものをありがとう」と喜びのご返事をいただいており、産直は産地とモノを選べば、手近なお店では得られない食の感動が味わえる魅力あふれる購入方法である。
一方、そんな新鮮でおいしいものを我が家でも食したいと、ちょっとばかり贅沢をして、妻が美味しいものを探し出しては季節季節に購入してきている。
日曜日の父の日には息子達から好物のサザエが届いた。長崎県五島列島からの産直であり、見事な大きさのものが5つ入っているのは例年通りだが、今年からは「サザエのさばき方」が3枚にわたった写真の説明書で付いており、これで生きたサザエをさばいたことがない都会人でも手を怪我することなく、刺身や焼き物ができそうである。
加えて、購入者からの感想が一覧化されて添付されていて、離島の漁港の人たちがごっつい手で箱詰めを行っているだけだろうと思っていたが、魅力的な産直づくりにかける彼らの意欲と心遣いまでが伝わってきた。
これから更に拡大するであろう産直、農産物・魚介類はもちろんだが、対象物は、まだまだアイデアの余地がありそうであり、人材育成を生業とする我々でも、その産直化の可能性を探ってみたいと思う。

「震災の法律相談Q&A」の刊行本をいただいて

人と組織に関する研究会(HRD研究会)の定例会合を、登山仲間でもある弁護士が所属する弁護士法人淀屋橋・山上合同の会議室をお借りして開催している関係から、彼には畑違いの研究会に毎回参加してもらっている。
人事や教育・人材ビジネスやカウンセラーなど人に関する専門家ばかりのメンバーの中で、全く違った視点での意見を展開してくれる友人弁護士の参加は貴重であり、いつも「そうだな、そういう見方があるな」と気づきがある。
昨晩の研究会では、彼から出席者全員に「震災の法律相談Q&A」と題した刊行本が贈呈された。この本は東日本大震災の6日後から作成に着手し2週間で完成させて、被災者や関係者が自由に活用できるようにホームページに公表したものを、持ち運びできるように書籍として売り出したものである。
阪神大震災時に急遽作成し無償配布したものを基礎にして作られたとはいえ、今回もまた短期間で完成させ無償で利用公開したこと、加えて、書籍の印税は全て義援金として寄付する行為には、この弁護士法人の公共活動マインドの高さがうかがわれる。
「震災の支援にはそれぞれの立場でお役に立てるよう行動することが大事だと思います」、震災直後の研究会で先ずは義援金から行動しようと呼びかけたのに対して、それに加えて、各人の専門性を活かした支援のあり方を訴えていた彼の姿を改めて思い出しつつ、内容に目を通し始めている。

Uターン起業家の誕生

中学・高校の同期生が関東から48年ぶりにUターンして、SOHO(事務所兼自宅)を開設したとの葉書をもらっていて、運よくお披露目のオープンハウス日に帰省したので、友人が連れて行ってくれた。
このUターン起業家は大学卒業後、外資系企業を皮切りにいくつかの企業を経験して事業マインドを磨き、同時に中学同窓会のホームページNanshot net(なんしょっとね?=宮崎弁で、どうしてますか?)を永年運営するサービス精神も旺盛な男である。
そんな彼が大震災の影響で起業環境の落ち込んだ関東を離れて、生まれ育った故郷で新たに「カネとヨク(欲)」(まだまだ金を稼ぎたい、同時に人生も楽しみたい)をテーマにして、この歳(同期生なので今年中には64歳になる)に事業を始めるのだから、そのチャレンジ精神は尊敬に値する。
広い応接スペースを開放して、パソコン教室やネット体験、人生を楽しみたい中高年の交流や情報発信の場が出来上がり、本業の経営者コンサルに加えて、ネットとヒト・モノを結びつけた新しいビジネスも企画調査中である。
サラリーマンが定年後また60代になって起業するのは100人に一人か二人だろうと思われるが、そんなチャレンジ仲間として、事業の成功にエールを送ると共に、これからの連携が楽しみになってきている。

幅広く活躍中のご夫婦に学ぶ

母親の介護帰省の帰りに立ち寄った福岡市で、小中学校時の同級生ご夫妻に玄界灘の新鮮な魚介類をご馳走になりながら、福岡県の状況をじっくりレクチャーしてもらう機会を得た。
○○丸というお店なので元漁師の経営だろうか、新鮮そのものの魚や貝類がテーブル一杯に並び、九州の名だたる焼酎を飲みながら箸を動かすのだから、不味かろうはずはない。
税理士の友人の福岡事情に聞きいっていたら、福祉活動の第一線を担いつつ、市の行政委員にも携わってきた夫人の話題参加がリアルでご主人に劣らない。
美夫人なのに気取ることなく、場の盛り上がりがない時はにわかのお面をかぶって場を盛り上げ、慰問の芸として南京玉すだれをプロに師事し、今では自らリーダーになって活動サークルまで運営しているとのこと、スーパーレディである。
福岡生まれ、一時期、他の地も経験したご夫婦の現役バリバリの福岡事情、「こりゃあ負けてはおられない」と大いに刺激を受けて帰阪した。

毎日の積み重ねの差は本当に大きい

健康維持のために毎日少しずつトレーニングを重ねることの大事さは、成果がすぐには目に見えなくても、周囲のメタボや病人を見て反省・努力できるが、社会人になってからの自己啓発の必要性は、「分かっていても、継続が難しい」ことは、他人の例を引くまでもなく、自己反省で重々分かっている。
それを分かっているからこそ、意識行動改革を求める長期の研修では、仕事場面で意識した改革行動を求め、自己学習ではリーディングアサインメントを意識した課題図書研修を求めてきている。
そのような研修を3カ月も続けてくると、職場での行動が一新してくることは自己申告だけでなく上司の評価にも徐々に表れてきて、講師冥利に尽き始めるのはこの頃からである。一方、課題図書研修では、平日帰宅後や休日の時間をいかに使うかで、読んで感想文をまとめる冊数が月3冊、4冊、5冊と少しずつ差が出てくる。
一見、高々1冊2冊の差ではないかと思われるが、本の読み込み方やポイントのつかみ方、感想文の書き方のみならず、考える力から自己啓発に向かう姿勢まで、一気に差がついてしまうのがありありと見えてくるものである。
「毎日の小さな努力、その継続的な積み重ねの大事さ」を、当たり前のことだと終わらせずに、実行して習慣化していく方法をいつも模索している。

山崎豊子「運命の人」を読んで。運命とは?

単行本が出て2年後に、広く読んでほしいとの著者の強い要望から、文庫本化された山崎豊子氏の大作「運命の人」4冊をようやく読み切った。
1972年におこった外務省秘密漏えい事件を題材にして、沖縄返還交渉の内幕と終戦直前に唯一地上戦が行われた沖縄の悲劇と、戦後アメリカ軍基地の70%以上を背負っている沖縄市民の悲惨な現実を、膨大な文書と、これまた膨大な現地聞き取り調査をベースにして書かれたこの小説は、単なる小説の域を超えて、沖縄問題を本土に住む日本人に突き付けた課題提起の本である。
外務省の秘密文書を持ちだした事務官、またそれを強要したとされた新聞記者が国家公務員法で起訴され、1審が無罪だったにもかかわらず、身辺を乱していたために男女問題に本質をすり替えられ、最高裁で有罪が決定したこの事件は、報道の自由と国民の知る権利とは何かが問われたにもかかわらず、それに正面から向き合わなかった無念さが残る裁判だった。
新聞記者を辞め、死地を求めて沖縄をさまよった元記者が、30年も経って、秘密文書の存在が明らかにされた後、沖縄の現実を問題提起する生き方を見つけて、「自らの意思で選んだ道程ではなかったが、そのように運命づけられているのなら、使命を果たそう」とのくだりでは、「運命とは何か、定まったものなのか」を読者に正面から問うている。
是非、読んでいただきたい本である。

NHK朝ドラ「おひさま」に見るドラマのテンポ

現在放送中のNHK朝ドラ「おひさま」は戦前・戦中の長野県を舞台にして、太陽の陽子さんの活躍がゆっくりめに進行中である。これまでのドラマと比較してスローテンポ過ぎるという声があるが、時宜に合ったタイトルであり、かつ、テンポであると我ながら感心している。
昨年までの日本は、政治が混乱し経済が長期低落傾向にあるにもかかわらず、どの年代層もわがままの言い放題、テレビは芸能人達の悪ふざけにも似たドタバタばかり、こんな世の中の風潮を苦々しく思っている人が多かったのではないだろうか。
しかし、大震災後にこれまでの生き方や生活のあり方を見直す動きが出てきたようで、それに符合したようなテーマと進み方だと思っているからである。
日本全国が震災ショックから徐々に復興へと歩み始めている中、戦前の誠実・勤勉な生き方をゆっくりペースで見る「おひさま」は、癒しにとどまらず、心に新たなエネルギーを充電してくれる、そんなドラマ展開になっていくだろうと、期待している毎日である。

梅雨入り宣言を聞いて夏対策を考える

昨日、九州に続いて中国・四国・近畿で梅雨入り宣言が行われた。近畿地方では平年よりも12日、昨年よりも18日早い梅雨入りである。平年の梅雨明けが7月21日とのことだから、今年は7月半ばまでには梅雨明けして真夏の到来になるのだろうか。
これまで沖縄だけが早い梅雨入りだと思ってきたが、近畿でもこれだけ早ければ、温暖化が更に進んだ証拠であり、昨年の猛暑が再び襲ってくるのではないかという懸念が強まってきた。
昨年は大震災もなく、原発も順調に稼働して夏場の電力不足の心配がなかったにもかかわらず、日本全国で熱中症が多発し、「猛暑に負けた」と感じた人が多かったと思う。私も外出するのが嫌な夏だった。
今年の夏は原発の稼働が大幅に減少するとの報道であり、東北・関東だけでなく、関西でも節電を求められる中で、猛暑対策を今から考えておく必要性がありそうだ。
仕事では背広から昔はやったセミシャツ(半袖カッターシャツ、ネクタイなし)に早めに切り替え、自宅生活はエアコン頼りから扇風機中心へ、それから暑さに負けない体力こそ猛暑対策の第一だろうから、早速、体力づくりに取り掛かろう。
猛暑と節電は想定外などと言わずに、昔とった杵柄(きねづか)ならぬエアコンのない時代の夏対策を思い出して、体力と工夫で乗り切りたい。

スローライフ登山も楽しい!

週末から2泊3日で四国の剣山登山に出掛けてきた。40年来の親友が3人そろうと、徳島行きの高速バスに乗るやいなや缶ビールと缶酎ハイで乾杯する遠足のようなスタートとなった。
初日は剣山頂上ヒュッテまでは雨にも遭わず、今回はそこから30~40分先の「一の森ヒュッテ」まで足を延ばすことにしたので、その分、雨に降られてしまった。
しかし、幸運とは何時転がり込んで来るかわからない。ヒュッテに到着すると管理人とお手伝いの女性の笑顔に迎えられて、今日は我々だけの貸し切りだと告げられた。雨の予報を聞いて、宿泊予定者が宿泊日を早めたり、追加宿泊者がなかったために、この幸運になったとのことだ。
早速、食堂に陣取って、「百年の孤独」と「ジャックダニエル」、「シーバスリーガル」で気勢を上げ始めると、管理人と助っ人女性も加わって、登山談義・剣山談義に花が咲いて、その場で引き続き5人で夕食という、これまで経験したことのない山小屋ライフとなっていった。
管理人さんは剣山の山だけでなく、動物や花、更には歴史から鉱物までと剣山を知り尽くすことをライフワークとしていて、とにかく詳しい。写真や石、木の標本まで次から次に取り出してきて説明してくれる。食事ではおこげのあるご飯から山菜の煮物、そば米雑炊、地元産の固めの豆腐まで、「地産地消で美味い居酒屋」のこだわりである。
飲み過ぎた翌朝はザアザア振りの雨、「稜線の縦走はガスの中で強風も心配だから、次回に取っておいて、トトロの森のようなカツラの巨樹や静かな山景色を楽しんで帰ったら」という管理人さんのアドバイスに従うことにしたら、挽きたての香り豊かなコーヒーまで振舞ってくれた。
アドバイス以上にあちこち歩きまわっても昼近くには登山口に到着、10数年前に泊った食堂(兼)民宿で、あまごの塩焼きと祖谷そばを当てにビールを飲んだら、老主人が殻付き落花生を持ってきてくれた。
いつもはここまでで帰るが今回は温泉宿でもう1泊して、登って観て降りて、飲んで食って語る、2泊3日は終わった。これまでのピークハント型とは一味もふた味も違うスローライフ型の登山だったが、エネルギーを充電し、少々飲み過ぎる新たな登山スタイルもなかなか味わい深いものである。