タイの水害の影響が我が社にまで及んできた

タイの水害の惨状が連日ニュースで報道されている。何十年に一度の災害だと言われているが、最近の台風や風水害・地震などの発生では何十年に一度から千年に一度まで、あくまでも想定を超えた例外的な発生だと取り扱われてきている。しかし、もうそろそろ想定外ではなくて、地球そのものが激甚災害を引き起こす温暖期に入ったと認識すべきではないかと思ってしまう。
そんな中でタイの工業地帯の水没で自動車関連を中心に部品生産が止まってしまい、タイ国内のみならずアジア一円、日本にまで生産調整から生産ストップが徐々に広がってきている。
お付き合いしている会社でもタイからの部品入庫が滞り始め、マネージャー総出で対応に奔走されておられるとか。工場の全マネージャー対象の研修を「欠席者ゼロを条件」に進めようとした矢先だけに、出鼻をくじかれた思いであるが、危機対応だけにやむを得ない。
しかしながら、効率化のために生産地や生産メーカーを集中・集約することはこのような地殻・気象条件の下では危険ではないだろうか。改めて、カントリーリスクのみならずリスク分散の観点からも企業の戦略隊列を全方位型に見直していく時期に来たのかもしれない。世界3極体制という言葉を思い出している。

親とスープの冷めない距離に住む

今日から2泊3日で宮崎に帰省してくる。父親の死去、3年間の一人住まいで徐々に老いが進んできた母親を大阪に引き取ることを決めたことから、その下準備を行うためである。
「近くに兄弟、それもお姉さんがおられるのなら、長男でも安心して都会で仕事を続けられますね」と、定年前後になって多くの友人・知人達から羨ましがられてきたが、その兄弟達が母親の介護をしたくないと言いだして、今回の決断となった。
我が家から歩いて5分のところに、新築間もない住宅型老人ホームが見つかった。高台の5階建て、仮契約した5階の部屋からは、緑あふれる池が見下ろせ、我が家さえもすぐそこに見えるのだから、これこそ「スープの冷めない距離」の住まいである。
正式契約の前に、母親に関わる基本部分を大阪に移転しなければならないが、先ずは、健康診断や常用薬の引継依頼などの医療関係、健康保険や介護保険等の介護関係、引越し本番に向けての周辺準備をこの3日間で済ませてこよう。
宮崎を離れることを嫌がっていた母親が、最近はそれを口に出さなくなってきた。「誰が一番母親の幸せを考えているか」を思ったら、大阪移転を喜ばざるを得なくなったからだろう。

リーディングアサインメント研修は有効だ!

「研究会のディスカッションが、その場の思いつきの発言が多くて、なかなか内容が深まらない」、また「研修で課した課題図書の読み込みが不十分であり、著者の意図や主張を受け止めきれていない」という問題意識から、「リーディングアサインメント研修」形式を試みに導入し始めた。
「リーディングアサインメント」とは「課題図書」の意味で、その研修方式は欧米の大学や経営大学院の授業では日常的に行われている。読書するよう指示された膨大な課題図書を読んで、著者や登場人物(歴史上の人物を含む)の人生の軸や覚悟、思考方法、判断基準等を事前に読み取った上で、授業に出席してディスカッションに参画し、討議テーマについての理解と自論の確立を進めていくやり方である。
通常研修の場合、課題図書については「ディスカッションする項目一覧」を事前に配布して、その項目順に本の論点を抜き出し、それに自己見解を付記して、研修当日に臨んでもらうというシステムを組んだ。
先日、初めて実施したが、受講者達の顔つきが今まで以上に真剣である。項目毎に全員もれなく指名していくと、準備十分なメンバーはポイントを理解した解答を生き生きと語り出し、一方、準備に手を抜いたメンバーは途中から議論に参画できなくなってうつむいてしまうので、一目で事前準備のレベルが分かってくる。併せて、考えてきた自己所見を披露するに至って優劣の差が更に広がってくる。
一昨日、東京で開催したHRD(人材開発)研究会でも試みたら、これまで以上にポイントに集中した議論が繰り広げられた。終わってから一人ひとりに感想を聞いてみると、「思いつきの発言がなくて論議が深まった」「自分だけの本の読み方が狭かったと気づき、他のメンバーの発言に学ぶことが多かった」と概ね好評である。
しかし、初めての試みであり、全く自分流の進め方をしたので、改善意見が続々出てきた。それらを整理してみると、
1)課題図書の選び方:テーマにぴったりマッチした課題図書を選ぶこと。
2)事前課題の作り方:司会者は、徹底的に読み込んでポイントを全て抜き書きすることが必要であり、メンバーもまた、論点を全て抜き出しておいて、議論の最中に本を読み返すことがないようにすること。
3)事前課題の提出の是非:リーディングアサインメント研修では、他メンバーが作成した資料などをみている暇はなく議論に集中して自論を展開することを求められるので、事前課題の提出は不要である。
4)討議の深め方:最重要部分の討議が浅くならないように、テーマ毎の論議の深め方・時間配分など、司会者が進行のさばきに緩急をつけること。
5)討議結果のまとめ方:討議がスムースに運び、討議結果がまとめやすいように、フォーマットを準備すること。
以上、改善点はまだまだ多いが、「リーディングアサインメント研修」が、研修手法として、また読書を深める手段としても、極めて有効であることに変わりはない。これから更に実施回数を重ねて、日本版の日常使用可能な研修スタイルとして確立していきたいと思う。

早起きはビジネスマン成功の特効薬

昔から「早起きは3文の得」と言われているが、現代では「早起きはビジネスマン成功の特効薬」だと確信している。
しかし、学生時代・新入社員時代は夜更かし朝寝坊が常態であり、連日の残業に加えて、夜の飲み会や麻雀が大好きだったために、朝はギリギリに起きだして朝飯もそこそこに家を飛び出していく毎日だった。
そんな生活習慣が変わってきたのは課長職になってきた頃からである。昼間は会議や職場責任者の相談相手、部下達の指導育成、夜は酒席に誘われること多数、休日も出勤等など、ゆっくり考える時間が皆無になり、課題を整理したり、企画書を作るためには早起きせざるを得なくなってきたからである。
最初は5時半起き、慣れてくると5時起き、ついには4時起きで、企画書づくりや読書に精を出すようになった。朝の1時間が昼間の2時間以上の価値があると分かったのはこの経過を踏まえてである。
定年起業後、起床時間が徐々に遅くなって6時過ぎになっていたが、最近になって5時に近くなり、ついには4時に戻ってきた。それと同時に頭のぼけがなくなり、周囲が全て好循環し始めたのは不思議である。
「早起きはビジネスマン成功の特効薬」、やはりこのとおりだと再確信した。

課長職の部下育成力をアップしたい

「課長職の部下指導力が弱過ぎる。マネジメントスタイルも確立されていない。何とかレベルアップする方法はないだろうか?」との悩みや質問を、仕事でお伺いする大企業でも中小企業でも、トップや部門責任者から切々と訴えられることが多くなってきた。
3~4年前の極端な不況時には、その対策のために人材育成どころではなかったが、この1~2年、グローバルを念頭に置いた新たな成長戦略を打ち出そうとして、現場を支え引っぱるはずのミドル力の低下に愕然とされた結果だろうか。
次世代のミドルづくりに参画させていただくことはやりがいのある仕事であるが、現在のミドル達、失われた15~20年を第一線現場で定見ないトップ方針に振り回されてきて、今、力不足だと決めつけられる彼らの再生なくしては、日本企業の力の源泉であるミドルアップ、ミドルダウンの現場力が復活しないとの思いから、現職のマネージャー育成こそ今現在行うべき人材育成の最優先テーマだと断言できる。
「現在の課長職のマネジメント力、部下育成力を一気にレベルアップする」仕事こそ、最もやりたい仕事であり、状況によっては手弁当でも入れ込む思いを持っている。
課長職が行うべき3つのマネジメント、「組織マネジメント、業務マネジメント、人材マネジメント」の基本をしっかり叩き込んで、日々の実践の成果を見届けたい。OJTの実践は、人間理解の手法を身につけながら、部下達とのコンタクト行動での気づきを積み重ねて、一昔前の課長職のように自信を持って部下を叱れるようになって欲しい。
そんな研修と実践指導、経過の過程での個人カウンセリング、やりたい仕事プランが次から次へと浮かんできて、それを文字化・プラン化する楽しい時間に溢れてきた今日この頃である。

銀行の自己防衛体質は変わっていない

田舎の母親を自宅の近場にある老人ホームに入れようと、施設探しを行って、歩いて5分のところに絶好のホームが見つかった。早速、契約や入居の手続きについて説明を受けたが、その事前準備事項の中に毎月の費用を引き落とす本人名義の銀行口座の指定が含まれていた。「振り込め詐欺の関係で本人不在での口座開設は難航するな」と直観した。
田舎では地方銀行とゆうちょを使っているので、長年使っている三井住友銀行にいつもの担当者を訪ねて、遠隔地で介護状態の母親に代わって口座開設ができないかの相談を行った。
エリア担当者は「本人が直接来なければ銀行口座の開設はできません」の一点張りなので、その業務の責任者とお会いしたいと申し込むと出てきたのが女性のサービス課長、口座開設などの顧客との窓口責任者である。
母親が宮崎に一人でいること、介護状態で気軽な行き来ができないこと、老人ホームの契約のために1~2週間以内に母親名義の口座を開設しなければならないこと等を懇切丁寧に説明して、本人が来店しなくても何らかの便法で口座開設できないかと頭を下げた。
と、この女性課長がしゃあしゃあと言い放った。「本人を直接確認しなければできません」「それなら実家が宮崎市内にありますので、お宅の宮崎支店の方にご足労いただけませんか?」「調べてみたら宮崎県には支店はありません」、都市銀行と称しながら宮崎県には支店がないとは、効率第一主義の銀行らしい。
続けて、「本当の親かどうか分からないのに口座開設はできません。法律で規制されていますから。自筆の申込書に親子関係を証明するもの=戸籍謄本も準備してください」、40年以上も取引している客を前にして何という言い草か!
ここまでくれば堪忍袋の緒が切れた。「もう結構です。他の銀行かゆうちょにしますよ」と嫌な顔をしながら言うと、「先ずゆうちょで対応されて、お母様が大阪に来られたらご一緒にお越しいただき、口座開設してゆうちょからお振り替えされたらいかがでしょうか」と厚顔無比なことを言う。
言うも言うたりだ。「これから徐々にお宅からお金を他の銀行に移しますよ」と啖呵を切って席を立った。
三井住友銀行は以前から、大きなお金を振り込むとすぐに電話をしてきて定期や投資案件を売り込むが、ローンなどの融資問題になると慇懃無礼な対応をする銀行とのイメージを持ち続けてきたが、現在も全く変わっていない。こんな銀行が経営難に陥った時に公的資金を投入する必要性があるのか。彼らは利用者の便宜など一切考えずに自行の利益だけを追求する金の亡者である。
こんな現場の実情と行員の言動を頭取に投書してやろうかな。

故郷に残した親の介護対応策

50代半ば頃から友人達との間で親の介護の話題が徐々に増えてきた。最初は一人残した親が病気になったとか家業の後継ぎを求められているなど、少数者からの話が中心であった。
以降、地方から都会に出てきて故郷に親を残している出稼ぎ族からの親介護問題が徐々に比重を増してきて、「実家の近くの老人ホームに入居してもらった」とか、「姉妹と同居することになった」とか、「月1回、介護帰省することにした」などの具体的な介護対応策が見え始めてきた。
親友のコラボ社長が還暦新築して和歌山から母親を引き取った時には、友人一同が快挙として受け止め、その後の対応を注意深く見守ってきている。
我が家でも一人住まいの母親の日常のサポートを姉弟に頼ってきたが、老化の進行と共に、将来への方向付けを迫られてきた。
先日、帰省して話し合った結果、長男である私が引き取ることにした。本来は子供達全員当分の責任ではあるが、母親が妻を全面信頼しており、妻もまた母親の余生を共に過ごしていこうとの覚悟をしてくれたことが、大きな後押しとなった。
都会のマッチ箱のような我が家に同居するのは難しいので、スープの冷めない近場の住宅型老人ホームを探し出し、毎日の訪問や散歩、週何回かの一緒の夕食や温泉地への旅行など、今まで寂しい思いをしてきた一人住まいより、必ず幸せになれる場づくりをしたいと、アイデアが次から次へと湧いてくる。
地方から都会に出稼ぎに出てきた中高年が抱える「故郷に残した親の介護問題」、対応策は様々だが、思いと現実の狭間で悩む姿に変わりはない。私もそんな一人だったが、妻の全面的な理解に支えられた決断で、心は幸せ一杯で秋空のように澄み渡ってきている。

働きやすい会社2011の結果に違和感あり

9月26日の日経新聞に2011年度の「働きやすい会社」の調査結果が掲載されていた。その上位4社が電機メーカーだと知って、違和感を持ったのは私だけではないだろう。これらの会社は業績が今一または長期低落傾向であり、かつ、リストラを恒常的に行っている会社ではないか。
この調査は1575社を対象に行い、465社から有効回答を得、併せて、ビジネスパーソン調査として、ネット経由で日経リサーチアクセスパネルの1万人に聞き、1829人から回答を得た結果である。
働きやすい会社とは単にその制度があるだけでは意味がなく、その制度の主旨通りに運用されているかをどう判断しているのだろうか。またビジネスパーソン調査の回答率18%が果たして適切な結果だろうか。
それ以上に大事なことは調査項目が適切かということである。
最近発行された本に、坂本光司法政大学大学院教授と渡邉幸義アイエスエフネット社長の共著の「会社は家族 社長は親」がある。坂本教授は「日本でいちばん大切にしたい会社」の著者であり、この本の出版を受けて、「日本でいちばん大切にしたい会社大賞」を法政大学・日刊工業新聞社・あさ出版が創設している。
この大賞が評価するのは「社員を中心とした人を大切にする、人の幸せを一番のベースに置いた経営をしているか」である。その結果、1番目のものさしが「離職率」、2番目が「リストラ」、3番目が「労働災害」となっている。
社員が自分の所属する会社を心から大切にしたいと思い、その会社で働くことを幸せと感じていれば、熱心に働き、結果として経営成績も良くなってしかるべきではないか。大賞にノミネートされた会社が全て何十年も好業績をあげ続けていることがそれを如実に物語っている。
国土が狭く、天然資源に乏しい日本の最大の資産は「人」である。その「人」を活かし、大切に育てていく「人を基軸に置いた経営」を評価できなければ日本の明日はない。日経新聞社の会社経営を見るスタンスは果たして適切か、広告宣伝を掲載してくれる会社に媚びてはいないだろうか。一読者として、その姿勢を見極めていきたいと思う昨今である。

若手抜擢と適材適所

登山倶楽部の9月例会は高槻のハイキングコース、ポンポン山~善峯寺、いつもは神峰山寺から登るが、今回は担当リーダーのアイデアで北側の出灰(いずりは)からのアプローチとなった。
同時に、トップに若手グループの一人、入会1年目の大企業人事マンを指名したので、メンバー一同どんなリードをしてくれるか興味津津で後に続いた。
このコースは距離が短い分、やや急な登りであり、最初から息が切れるのが普通だが、今回のトップは急がす遅くならず、後続の気配を背中で感じつつ、適度なペースをきざみ、全員が会話できる状態で山頂まで引っ張り上げてくれた。
ベテラン達から「いいペースだね。トップ向きだ」の称賛の声が飛び交って、本人も満更でない顔つきで山上一献会の会話もリードし、続く下りも適ペースを維持し続けたのである。
一見おとなしそうな彼の内面に帝国海軍軍人の父親から引き継いだ強固な意志とリーダーシップがあることは前々から気づいていたが、登山の隊列でそれがいかんなく発揮されるとはこの日まで気づかないでいた。
平均年齢60歳くらいの高齢化が進む集団では、老害に陥らないように、若手を積極的に抜擢しなければならないことは、よくよく知っているつもりだったが、担当リーダーの実践でそれを実感できた一日となった。
併せて、誠実で着実、チームワークを大切にする彼の人柄がトップに適性あることを見抜いたこともまた担当リーダーの炯眼であった。

過ぎたるは及ばざるがごとし~人間ドックの例~

先日、夫婦で人間ドックに出かけてきた。定年後、健康こそ幸せな生活を続ける基本との思いで、毎年の恒例としてきている。その間、全く問題なしの年は大喜びし、何らかの指摘があれば早速、治療を行ってきたお陰で、今年は二人共に「どこも悪いところはありません」とのお墨付きをいただいた。
しかし、今年の検診で気になったことがある。胃部レントゲンで気持ちが悪くなってしまったのだ。
バリウムを飲んでレントゲン台に乗ると、その狭い台に横になった姿で、先ず3回まわれと言う。たしか、昨年までは2回だった。それから少しすると今度はバリウムが胃壁によくくっつくようにまた2回まわれとの指示だ。そこから撮影の間に何度まわらされたことか。
数え切れないほどまわらされて、ついには胃をふくらませるために我慢をしていたげっぷが出てしまい、再び発泡剤を飲まされる羽目になってしまった。そこから、またぐるぐるぐるぐる。ついに吐きそうになってしまった。
一方、妻はこの検診が嫌で、昨年から胃カメラに切り替えたが、今年は食道から胃の隅々まで何度も何度もつつきまわられたとのことで、検診が終わって食事をしたら、食道や胃に傷がついたらしく、痛みが酷く、治るのに1日かかってしまったほどだ。
「検診で見落としがあってはならない」との再徹底が行われたからだろうか、今年の胃部検診はどちらのやり方でも丁寧極まりなかった。でも、これは「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」である。
一度この感想を病院事務局に連絡しておこうかな。